第1回議員協議会(1月9日)特別支援学校について

1月9日第1回議員協議会が開催されました。

様々な協議事項や報告事項がありましたが、特別支援学校について報告があり(資料は9日の当日に議員に配布され事前配布なし)、児童・生徒数の想定と改修工事の図面(平成25年3月閉校の塩殿小学校を改修して、市立の特別支援学校を平成26年4月開校予定)が提示されました。

議員から様々な意見が出されましたが、私は、以下に記載する意見をもとに、傍聴もない、議決権もない議員協議会での議論ではなく、特別委員会の設置や総務文教委員会での議論を要望しました(議論するにはきちんとした時間もなく、また議員全員が意見を表明できる場でもない議員協議会です。)が、このまま協議が済んだということで、3月定例会に予算が持ち込まれます。

特別支援学校開設は、近隣市町村では議会で特別委員会が設置されるような案件です。様々な立場の方が様々な想いの中で、そして議会においても、議論を尽くして、より良い学校が整備運営されていくことが大切ではないでしょうか。議論を尽くすその過程こそ民主主義であり、市民が主役でない限り、虚無主義がはびこる弊害も懸念されます。

議員からの質問に関して当局側の答えとしては、「増築の必然性はない。」「スペースは十分。」「将来的に手狭になればその際、増築を議論すればいい。」「今の校舎でやっていけると判断。」「(作業室もたくさん設置して大規模な設備を導入するような)いい就労訓練もしたいが、どういった技術を身につけされるか色々問題はある。大規模な施設がいいわけではない。」「いい学校を作って人を集める学校ではない。(特別支援教育が必要な児童・生徒の)状況に応じて責任を持って入学者も決められる。」「増築の必然性がまったくわからない。」「塩殿小学校を活用していくには、この図面しかない。その前提でいえば、日本一や他の模範となるような施設は作れない。」との発言がありました。

特別支援学校には、学校設置基準はありません。ですので、「生徒・児童一人あたり何㎡確保すべし」ですとか「○○という設備、教室を常備せよ」みたいな縛りはないのですが、平成23年3月に文部科学省から「特別学校施設整備指針の改定に伴う提言」が発表されています。

※以下は、1月9日に開催された学校設置検討委員会「小千谷市立特別支援学校(塩殿小学校校舎改築) 学校設置」を傍聴して、長谷川ありが感じたこと。

≪当事者の意見を取り入れた学校整備・校舎改築を望みたい≫

1月9日の学校設置検討委員会での委員の発言「せっかく検討委員会で発言をしても、予算が決まっているということでまったく委員会での発言が無意味であるということであれば委員として無力・むなしさを感じる。」との発言を聞いて、当事者抜きの学校整備計画はナンセンスと感じざるを得ない。

2006年12月国連総会で障害者の権利条約が採択⇒その過程で繰り返し言われていたことは、「Nothing about us Without us!」(私たち抜きで私たちに関することを決めないで下さい!)→障害者の権利条約に則った日本の国内施策を進めていく時に障がい者自身が欠かせない。インクルーシブで排除のない社会づくりをする際には、その道程自身も排除のない、いわゆるインクルーシブな共生、ともに生きるそういう形でなければならないことを示している。

◆学校設置検討委員会で委員の皆さんも「無謀な・贅沢な教室増設などお願いしているわけではない」と繰り返し言われていたが、当事者の声を受け取った改築案、いま少しの教室増やスペース増は見込めないのか。

(その根拠1)合理的配慮のないこと、つまり差別であるとの認定や特別学校施設整備指針の改定に伴う提言(文部科学省)を見ても、改築案には、特別支援学校を整備する配慮や想いが感じられない。

特別支援学校に学校設置基準はないと言われるが(参照:下記資料②)

しかし、平成23年3月 特別支援学校施設整備指針の改訂等が行われ、下記の配慮を行うよう提言されている。

参照:資料①特別支援学校施設整備指針の改訂等【概要】文部科学省平成23年3月

http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2011/03/24/1304046_6.pdf

・ フレキシブルな空間は,教材・教具等の収納に配慮

・  落ち着きを取り戻すための小空間は,安全性や外部からの刺激等に配慮

・  職業教育のための諸室は,企業等との連携等を考慮し施設機能を設定

・  作業学習関係諸室は,販売や清掃等の多種多様な活動が実践的に行える空間等を計画

・  良好な環境条件の確保のため,室温,音の影響等にも配慮

・  幼児児童生徒が休憩,交流等に利用できるスペースをラウンジや廊下等に計画

・  職員室は,教職員同士の交流や外部の専門家との連携に配慮

・  看護師のためのスペースを職員室や保健室等の一部又は隣接した位置に計画

・  保護者等に対する相談対応・情報提供を果たすよう施設環境を整備

・ 多目的教室等は,地域との交流等における利用を考慮等

(その根拠2)特別支援学校の幼児・児童・生徒数の増加への対応が不十分ではないか。

 平成23年3月 特別支援学校施設整備指針の改訂等で設置者への提言で、「特別支援学校の幼児児童生徒数の増加への対応」がうたわれている。(上記資料①参照)

また、特別支援教育の在り方に関する特別委員会における「合理的配慮」の例(文部科学省)として以下の事柄があげられている。

△  (知的障害)生活能力や職業能力を育むための生活訓練室や日常生活用具・作業室習や情緒安定のための小部屋等の確保

△  (情緒障害)個別学習や情緒安定のための小部屋等の確保

△  (発達障害)クールダウンするための小部屋等の確保

・特別支援教育の在り方に関する特別委員会 合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第5回議事録)

中村委員(NPO法人若駒ライフサポート)

(学級定数の問題。現在は高校8・小中6・重複3)特別支援学校の中でもとても人数が多い知的障害の

部門では(問題が)起こっている状況がある。人数ももちろんですが、その人数に対する学級だけではなく、

その学級をきちんと維持できるだけの設備の保持もとても大きいと思います。

・千葉県県立特別支援学校整備計画(平成23年3月)

児童生徒数の増加の主な背景

①      特別支援教育に関する理解の浸透

②      特別支援学校の専門性への評価や期待の高まり

軽度知的障害のある生徒による高等部への入学者数の増加が顕著である。また肢体不自由の

児童生徒数の増加は緩やかだが少人数で学級編成する必要のある重複障害者の占める割合が高い。

⇒上記のことからも教室不足となっている。

 

(その根拠3)財政問題のみを理由にしてほしくない。何か妥協点や工夫点はないのか。

特別支援教育の在り方に関する特別委員会 合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第5回議事録)吉松委員(北九州視覚特別支援学校)の発言

障害者施策、教育にしろ、福祉にしろ、障害者には基本的にお金がかかるものだと思うのです。

同じ、現在の教員数でも、通常の学校の教員一人当たり何人の生徒を見ているかという統計がありますが、

特別支援学校は非常に、よく言えば恵まれています。悪く言えば、お金がかかっています。必然的に均衡は

失しているものだと思っています。同じような基準で判断されると障害児教育はできないと思うのです。

※  「合理的配慮」の否定は障害を理由とする差別に含まれるとされており、合理的配慮とは障がい者それぞれに応じた配慮を意味し、合理的配慮には経済的な負担があることが明言されています。

※  「合理的配慮」については、教育委員会、学校、各教員が正しく認識しなければならないことは言うまでもないが、保護者、当事者も含め、地域における理解も進んでおらず、理解促進のための啓発活動が必要である。(文部科学省 審議会 合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 提言)

 

 

資料① 「特別支援学校の学校設置基準はない」

 

平成二十三年五月二日提出(質問第一五八号)

特別支援学校の過密化に関する質問主意書  木村太郎衆議院議員

 少子化が進む一方、公立の特別支援学校の児童生徒数は、この十年間で三万人以上も増え、平成二十二年度には全国で十一万七千九百六十八人に上り、同年五月時点で、教室の不足数は四千八百十教室。また教職員も不足し、同年度の充足率は全国において九十七・八%で、三十三道県で定数を割った。
自公政権時の平成十九年度に、一般の小中学校の通常学級と特別支援学級、特別支援学校が連携しながら障害児教育に取り組む特別支援教育が始まったが、今後自閉症や注意欠陥、多動性障害など発達障害と診断される子どもの入学が増えると予想され、早急にこれまでなかった特別支援学校の学校設置基準定め、子どもの安全確保を図り、障害児教育の質を向上させることが急務と考える。
従って、次の事項について質問する。

一 昨今少子化が進む一方、公立の特別支援学校の児童生徒数が急増している要因をどのように分析しているのか、菅内閣の見解如何。
二 一に関連し、特別支援学校の中には、五十学級あるにも拘らず、個々の障害に合わせて発達を支援する自立活動の教師が五人しか配置されていないところもあるが、今後国としてどのように対応していくのか、菅内閣の見解如何。
三 一~二に関連し、発達障害など軽度の子どもの多くが、通常学級ではなく特別支援学校を選んでおり、また小中学校内でも通常学級から特別支援学級、更には特別支援学校に移っていると聞くが、これについてどのように分析しているのか、菅内閣の見解如何。
四 一~三に関連し、子どものことを考えると、小中学校の通常学級における障害児教育の質を向上させることが不可欠である。財政難の自治体では、意に反して特別支援学校の過密化が一層進んでいると聞くが、国として今後どのように支援していくのか、菅内閣の見解如何。
五 一~四に関連し、これまで特別支援学校に学校設置基準がないことから、過密化を助長していると考えられる。特に特別教室を転用、または教室を増設することによる災害時の安全性確保のため、設置基準を定めることが早急に必要と考えるが、菅内閣の見解如何。
六 一~五に関連し、特別支援学校の教師が中心となり、派遣など各小中学校との自由な人事交流を促進することが障害児教育の質を向上させる源泉と考えるが、菅内閣の見解如何。
七 平成二十三年度予算では、障害児教育についてどのように反映しているのか、菅内閣の見解如何。

 

一について

 公立の特別支援学校に在籍する児童生徒等の数は、平成二十二年五月一日時点で約十一万八千人となっており、平成十二年五月一日時点の数と比較すると、約三万二千人増加している。平成十九年度に文部科学省が都道府県教育委員会に対して行った調査によれば、公立の特別支援学校に在籍する児童生徒等の数が増加している要因として、保護者の間に特別支援学校における教育に対する理解が深まったこと等が挙げられているところである。

二について

 特別支援学校における教職員の具体の配置については、地域の実情等を踏まえ、各教育委員会等において適切に行われるべきものであると考えるが、各都道府県ごとの公立の特別支援学校の小学部及び中学部に係る教職員定数の標準については、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和三十三年法律第百十六号)において、各都道府県等ごとの公立の特別支援学校の高等部に係る教職員定数の標準については、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十八号)において、それぞれ定められており、これらの教職員定数については、特別支援学校において自立活動に係る指導を担当する教員の必要数を考慮の上、算定されているところである。

三について

 公立の小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒の数は、平成二十二年五月一日時点で約十四万五千人となっており、平成十二年五月一日時点の数と比較すると、約七万三千人増加している。特別支援学級に在籍する児童生徒の数が増加している要因は明らかではないが、教育上特別の支援を必要とする児童生徒について、特別支援学校に在籍させて指導を実施するか、小中学校の特別支援学級に在籍させて指導を実施するか等については、当該児童生徒の障害の状態等に応じて、各教育委員会や各学校の校長が適切に判断しているものと考える。

四について

 小中学校における特別支援教育の充実を図るためには、教員の特別支援教育に関する専門性の向上を図る必要があると考えており、特別支援学校以外の学校の教員の普通免許状を取得する際に修得することが必要な科目に、「障害のある幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」に関する事項を含めているほか、文部科学省から都道府県教育委員会等に対し、小中学校において教員向けの特別支援教育に関する研修を実施するよう指導しているところである。また、公立の小中学校等において教員と連携しながら障害のある児童生徒等に対して学習活動上の支援等を行う「特別支援教育支援員」の配置に係る経費について、地方財政措置を行っているところである。今後とも、小中学校において適切な特別支援教育が行われるよう必要な支援を行ってまいりたい。

五について

 特別支援学校については、在籍する児童生徒等の障害の状態に応じ、必要となる施設や設備が様々であること等から、その施設や設備について一律の基準を設けることは困難であると考える。なお、文部科学省においては、都道府県教育委員会等に対し、特別支援学校における教室不足について教育上の支障が生じないよう適切な対応に努めるよう指導しているほか、「特別支援学校施設整備指針」(平成二十三年三月二十四日文部科学省大臣官房文教施設企画部策定)を策定し、災害時における学校の安全性の確保を促しているところである。

六について

 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第七十四条において、特別支援学校は、小中学校等の要請に応じて、障害のある児童生徒等の教育に関し必要な助言又は援助を行うよう努めるものとされているところ、文部科学省においては、都道府県教育委員会等に対し、特別支援学校が、その専門的な知識や技能をいかし、小中学校等の要請に応じて、障害のある児童生徒等のための個別の指導計画の作成等の援助を行うこと等により、各地域における特別支援教育の中心的役割を果たすよう指導しているところである。

七について

 平成二十三年度予算においては、特別支援教育のための就学奨励に係る負担金等や、特別支援教育の体制整備を総合的に推進するための「特別支援教育総合推進事業」に要する経費など、特別支援教育の推進に必要な経費として、九十億七百十万四千円を計上しているところである。今後とも、教育上特別の支援を必要とする児童生徒等の一人一人に対し、きめ細かな対応を行うことができるよう、特別支援教育の推進に努めてまいりたい。

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