埋設農薬堀削無害化処理 現地視察

民生産業委員会で現地視察が行われていましたが、総務文教委員会所属議員も視察させてほしいと、久保田陽一議員にお骨折りいただき、風間健一議員、私の三人で、先日、真人地内にある埋設農薬の処理現場を視察させていただきました。

そもそも、昭和46年農薬取締法に係る農水省令で、販売が禁止及び制限された残留性有機塩素系農薬「BHC、DDT、アルドリン、ディルドリン、エンドリンなど」は、当時、人体への健康被害などを考慮して、農水省の指導と補助により昭和47年度農薬安全処理対策事業により、地中に埋設処理された使用残農薬(POPs農薬)というものがありました。

その後、POPs農薬の適正な管理・処分を定めた「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」が発効(2004年・平成16年5月)されたことにより、農水省は、このPOPs等農薬の無害化処理計画を策定、農水省の埋設農薬最終処理事業(平成16年度から5年間の予定)により、過去の埋設農薬の積極的な調査・掘削・処理が行われることになりました。

※関広一市長時代、長谷川きよ市議(当時)も埋設農薬問題について、一般質問させていただいております。

しかし、なかなか全国的に進捗しない状況が続いておりました。

小千谷市では、環境うるおい基金の活用も図り、2012年内に、処理を完了させる運びとなりました。

【新潟日報2005年7月22日】県は21日までに、地中に有害な農薬が埋設されている市町村に対し、無害化処理を早急に開始するよう要請した。関係市町村は今後、農業団体などと共同で「埋設農薬対策協議会」を個別に設置し、本年度中に処理計画をまとめる。対象となるのはBHCやDDT、ドリン剤などの有機塩素系農薬。体内に蓄積されると造血機能や腎臓、肝臓などに障害を引き起こすとして、1971―72年に全国一斉に地中に埋設された。

【朝日新聞2008年9月4日】(埋設農薬、未処理2千トン 補助金切られ10道県難航) 70年代に国の指導で地下に埋められた有害農薬の最終処理が頓挫している。国は国際条約を批准して来春までに処理を終える計画だったが、 財政難から10道県で2083トンが地下に眠ったまま。地震で地中に漏れ出る危険もある。国は「税源は移譲した」との立場で、解決のめどが立っていない。有害農薬が地下に埋設されることになったのは1971年、旧農林省が農作物に残留して体内に蓄積して健康被害を引き起こすとして、 アルドリン、エンドリン、ディルドリン、BHC、DDTの5種類の有機塩素系農薬の使用を禁止。最終的には無害化処理が必要だが、当時は高温焼却などの 技術はなかったため、地下に埋めるよう都道府県に指導した。30道県が計約4660トンを、プラスチックのコンテナに入れた上で、県有地や農薬メーカーの 敷地などの地下にコンクリートの箱に密閉するなどして埋めた。政府は02年、有害化学物質を規制する「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」を批准したことから、地中に埋めた農薬の最終処理を検討。 条約に期限はないが、国は04年度から5年で処理する計画をたて、04、05両年度は国が費用の半分を負担する補助事業(各約4億円)を組んだ。 しかし、国から地方に税源を移譲する三位一体改革で、06年に補助金は廃止になった。農林水産省の4月時点の調査を基に朝日新聞社が調べた結果、30道県のうち20県で最終処理が完了していたが、10道県の120カ所で未処理だった。 同省は犯罪予防や安全維持を理由に埋設場所は非公表としている。05年の朝日新聞社の都道府県への調査で12道府県で周辺土壌や地下水への汚染が確認された。うち5府県では環境基準を上回っていた。その後、土壌の除去などが進められている。専門家からは地震などの災害時に地盤がゆるんで農薬が地中に漏れ出る危険性も指摘されている。94カ所と埋設場所が最多だった新潟県は、05年度から計約6億円を投じて処理を進めたが、88カ所が未処理で、うち74カ所は計画すらない。 埋設場所を集約せずに自治体単位で埋めたことが障害となっている。県の担当者は「予備調査に1年、掘削作業に1年はかかる。予算にも限りがあり、 やれる所からやっていくしかない」と嘆く。 北海道、滋賀、鳥取、岡山の4道県はまったく処理計画がない。北海道は最も数量が多く、農薬メーカーの敷地2カ所に計566トンが眠る。 担当者は「元々は国の指導で地下に埋めた。本来、条約への対応や農薬の管理は国の責務。財源を含めて国が最終処分まで対応すべきだ」と不満を隠さない。処理したくても物理的にできないケースもある。鳥取県は国が補助金を出す前から独自に処理に取り組み、45カ所を18カ所まで減らした。 しかし、残りの大半は建物や道路ができて、掘り返せないのが実態だという。10カ所中8カ所で処理を終えた長野県。上田市のゴルフ場敷地内は今年度中に処理できる予定だが、最後の1カ所は富士見町の農協の貯蔵庫の地下。 何とか建物を撤去せずに周りから取り除く方法はないか調査中だ。  農水省農薬対策室は「国から地方に税源が移譲された中で、最終処理の費用分も上乗せされている。最終処理を優先するか否かは各道県の判断次第」とし、 新たな予算措置の予定はないとしている。 東京農工大・細見正明教授の話 埋設された農薬が放置されれば、雨水などで周辺の土壌や地下水が汚染される可能性があり、 地震でコンクリートの覆いが壊れるおそれもある。国と地方の双方に責任はあり、責任の押しつけ合いで処理が進まないのでは、国際的には通用しない。 未処理の場所は処理できない事情や監視の状況をきちんと説明し、処理が済んだ場所も汚染の有無や処理の方法を公表して安全性を客観的に示していく必要がある。

↓ 埋設農薬堀削・ドラム缶封入の現場

  

  

  

  

  

  

  

上記の埋設現場から、慎重にドラム缶封入された残農薬は、秋田県の処理施設に運ばれ、焼却方式による熱分解により、無害化処理されます。

専門業者の方により、慎重に作業が進められておりました。また周囲の環境調査においても、農薬の流失や汚染はおこっていないとのことに一安心です。

残農薬の問題は、ゴミとして処理できない人体に影響を及ぼすものをどう人類が処理していくのか、という現実を突きつけるものです。(今、ここにある危機の顕著な例としては、「核のゴミ」をどうするのかという大問題があります。 たとえ全世界の原発が明日止まったとしても、10万年危険な放射性廃棄物は残る。世界にさきがけて高レベル放射性廃棄物処理施設(永久地層処分場)の建設を決定したフィンランド。高レベル放射性廃棄物は管理しうるのか?と問うドキュメンタリー「10万年後の安全」という映画もあります。)

埋設農薬に関しては、埋設当時は、ブルドーザーしかない時代で、現在の油圧ショベル・パワーショベル・バックホー等と呼ばれる建設機械がない中では、深く掘った穴などに埋設できないという時代背景上、小千谷の埋設現場では、桑畑の粘土質の土壌に埋めてあったので、周辺への浸出・汚染はなかったが、他市町村では、河川の傍などに埋めた例があったり、記憶があいまいで、埋設現場を特定できなかったりと非常に困難なケースもあると現場の指揮をとられている間組(はざまぐみ)の方に伺いました。

アスベストや埋設農薬など、何十年も前からその危険性が指摘されていたことですが、問題が表面化したり、適切に処理されるには、長い時間がかかりました。

現在は、ミツバチの大量死・大量失踪の原因ともいわれるネオニコチノイド系農薬問題や福島原発事故による放射能の問題が懸念されます。

今、目の前に危機は見えないかもしれない。でも現実に危機はある。

しかし、確実に世界は、常識は、変わっていく。

5割減減(ごわりげんげん)というノボリを見かけたことはありませんか?

農業者の高齢化や後継者不足等に理由にそんなことは夢物語だといわれてきた有機農業に関しても、確実に減々栽培、 JAS有機栽培、環境保全型水稲栽培へと変わってきています。

政治の分野でも、市民の安心・安全のため、チェック機能や政策・法律の立案、改正など、本気の仕事が問われます。

私も全力で頑張ってまいります。

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